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日本の英会話スクールで生徒が辞めていく理由と、「危険な時期」が来る前に経営者ができること

日本で英会話スクールを経営していれば、心当たりのあるパターンではないでしょうか。

4歳、5歳、6歳で入会した子どもが、レッスンを楽しみ、保護者も満足している。ところが小学校高学年から中学生になる頃、「忙しくなって」という理由で家族から相談を受けます。塾が始まった、部活が本格化した、受験が近づいてきた。そうした事情の中で、真っ先に削られるのが英会話です。

「日本ではよくあることだから仕方ない」と片づけてしまいがちですが、実はそれだけでは説明がつかない部分があります。

2026年にAAS Pressが実施した生徒継続率に関する調査では、その背景がより具体的に示されています。JOBS IN JAPANはこの調査のデータ収集に協力しており、生徒が何年も学んだ末に十分な成果を得られないまま辞めてしまう理由を知りたい英会話スクールの経営者にとって、参考になる内容です。

詳細は、報告書『Don’t Leave: Understanding Student Retention in English Language Schools in Japan』にまとめられています。この記事では、その要点をかいつまんで紹介します。

生徒が辞めるタイミングには一定の傾向がある

AAS Pressの調査では、日本国内の英会話スクールの経営者・運営責任者147人から回答を集めています。データは自己申告によるものであるため、日本全体を完全に代表する数値として扱うべきではありませんが、それでも見過ごせないはっきりとした傾向が見えてきます。

多くの生徒は4歳から6歳の間に英語学習を始めます。そして、辞める年齢として特に多く挙げられたのは10〜12歳と13〜15歳でした。

つまり、多くの生徒はランダムに辞めているわけではありません。小学校高学年から中学校に上がったばかりの時期、ちょうど塾や受験勉強、部活動、学校生活の負担が家庭のスケジュールを圧迫し始めるタイミングで辞めているのです。

経営者にとって、これは教室運営だけの問題ではありません。経営そのものに関わる問題です。毎年同じ時期に生徒が辞めていくのであれば、その分を新しい生徒で埋め合わせ続けなければなりません。集客の負担が増え、クラス運営が不安定になり、売上の見通しも立てにくくなります。

レッスンの質だけが理由ではない

生徒が辞める理由として最も多く挙げられたのは、塾に通い始めることでした。ほかにも、スケジュールが合わなくなった、受験勉強で忙しくなった、引っ越し、忙しさ、やる気の低下といった理由が多く見られました。

だからといって、レッスンの質が重要でないわけではありません。質の低いレッスンは、いつの時代も継続率を下げます。ただし今回の調査からは、多くの生徒が「英語が家庭の優先順位から外れていく」ことによって辞めている実態がうかがえます。

幼稚園の頃は、子どもがレッスンを楽しみ、英語との最初の出会いが良いものであれば、保護者はそれで満足しています。ところが小学校高学年になると、保護者は「これが何につながるのか」を考え始めます。

中学生になると、その問いはさらに具体的になります。「これは学校の勉強や受験、将来の役に立つのか」と。

もしスクール側が、子どもが5歳だった頃と同じ説明の仕方を続けていれば、保護者は他のところに目を向け始めるかもしれません。

継続率の高いスクールは、生徒が離れる前に手を打っている

事例からわかる大きな学びのひとつは、継続率の高いスクールほど、家庭が「そろそろ辞めようか」と考え始めてから動くのではなく、その前に備えているという点です。

山梨県でi2iを経営するBrian Shepherd氏は、小学3〜4年生での離脱に対応するため、小学校高学年向けのExplorersプログラムを立ち上げました。生徒たちは引き続き英語を学びながら、キャンプや野外活動、料理、科学実験、日記や振り返りといった体験型のセッションや月替わりの活動にも参加します。

狙いは、単にレッスンを楽しくすることだけではありません。英語を生徒自身の「アイデンティティの一部」にすることです。生徒たちは「Explorer」と呼ばれ、ひとつのグループに属し、そこでの思い出や立場を持ち、自分なりに続ける理由を見つけていきます。

熊本県でSunshine English Schoolを経営するClaire Sezaki氏のアプローチは異なります。同校では新規入会を小学1年生に限定し、同じ学年集団のまま進級させていきます。すべてのスクールに合う方法ではありませんが、そこにある考え方は参考になります。継続率は入会前からすでに決まり始めているということです。家庭は最初の段階で今後の道筋を理解しており、スクール側もクラスのレベルや期待値、生徒同士のつながりを守り続けています。

仙台でCambridge English Schoolを経営するBen Shearon氏は、中学生向けのプログラムを作り直し、リーディング、スピーキングのアウトプット、学校英語のサポートをひとつの明確な仕組みの中にまとめました。

David Chandler氏のABCDAVID’Sでは、中学生の定期テストの結果を追いかけ、文法面のサポートを行い、生徒がつまずいたタイミングで働きかけています。

スクールごとにやり方は違いますが、共通しているのは、家庭の気持ちが離れてしまう前に「次の段階」が見えるようにしている、という点です。

各スクールが行った対策

i2i (Brian Shepherd氏)

山梨県

Explorersプログラムを導入。キャンプ、プロジェクト、料理、科学などの体験型活動を通じて、小学校高学年の生徒にアイデンティティと所属感を持たせる。

Sunshine English School (Claire Sezaki氏)

熊本県

新規入会を小学1年生に限定し、安定した長期コホートで進級。継続率づくりは、入会後ではなく入会前から始まる。

Cambridge English School (Ben Shearon氏)

仙台

中学生向けプログラムを再構築し、リーディング、発話アウトプット、学校英語サポートをひとつの明確な仕組みにまとめた。

ABCDAVID’S (David Chandler氏)

所在地記載なし

中学生の定期テスト結果を追跡し、文法サポートを行い、つまずきが見えた段階で早めに働きかける。

「続ける価値がある」と保護者に伝わる形にする

レッスンが楽しいというだけでは、中学生になっても続けてもらう理由として十分とはいえません。

保護者には、目に見える形で成長を実感してもらう必要があります。授業参観、リーディングの宿題、英検の合格、学校のテストの点数、面談、定期的な進捗確認、あるいは「今、これができるようになった」という具体的な例など、方法はさまざまです。

どの方法が合うかはスクールによって異なります。会話中心のスクールと、学習色の強い英語スクールとでは、成長の見せ方も変わってくるはずです。大切なのは、保護者が「今どうなっているのか」を推測しなくて済むようにすることです。

これは子どもが成長するにつれて、より重要になります。6歳の頃は英語の歌を喜んでいた子どもも、12歳になれば同じようには喜ばなくなるかもしれません。それは必ずしも「辞めどき」を意味するわけではなく、生徒自身と保護者の両方に、続ける新しい理由を示すべきタイミングが来た、ということかもしれません。

JOBS IN JAPANでは、講師のウェルビーイングや職場のプレッシャーを取り上げた「日本の職場が抱える大きな問題」という記事も公開しています。経営者にとって、スタッフの安定と生徒の継続率は無関係ではありません。スクールが整然としていて安定しており、何年にもわたって生徒をサポートできる体制にあるかどうかを、家庭は案外よく見ているものです。

節目ごとに家庭の気持ちを「再獲得」する

家庭は、一度「9年間続けよう」と決めるわけではありません。何度もそのつど決め直しているのです。

子どもが小学校に上がるとき、宿題が難しくなるとき、塾が始まるとき、レッスンの時間や月謝、求められることが増えるとき。そのたびに、続けるかどうかが問い直されます。

継続率を高める取り組みとは、こうした節目を「もう一度選んでもらうタイミング」として扱うことです。

小学4年生になる前に、高学年向けプログラムがどう変わるのか、その理由も含めて伝えておきましょう。

小学6年生になる前に、中学生向けのカリキュラムがどんな道筋になるのかを具体的に示しておきましょう。

月謝やレッスン時間を上げる前に、その分、家庭にとって何が得られるのかを説明しておきましょう。

保護者が塾と比較し始める前に、学校英語や英検、コミュニケーション能力など、自分のスクールならではの強みをきちんと伝えておきましょう。

保護者から「そろそろ辞めようか考えています」と言われるまで待ってはいけません。その言葉が出た時点で、気持ちの上ではすでに決断が済んでいることも少なくありません。

経営者が次にすべきこと

日本で英会話スクールを経営・運営しているなら、まずは自分のスクールにとっての「危険な時期」がいつなのかを把握することから始めましょう。

過去2〜3年分の退会状況を振り返ってください。年齢、学年、在籍年数、クラスの種類、退会理由、退会した月を記録します。まだこうしたデータを取っていないなら、今から集め始めましょう。

そのうえで、次のように問いかけてみてください。

  • どの時点で生徒が離れ始めるか
  • その時期、家庭にどのような変化が起きているか
  • 次の段階について、早めに説明できているか
  • 保護者に伝わる形で成長を示せているか
  • 年齢が上の生徒たちは、このスクールに「居場所」を感じているか
  • 塾や部活、あるいは「何もしない」という選択肢と比べて、うちのスクールを選ぶ明確な理由を提供できているか

最も効果的な継続率対策は、土壇場での説得ではありません。「続けることが自然な流れになる」ようなスクールをつくることです。

レポート全文を読む

この記事で紹介したのは要点のみです。AAS Pressによる報告書の全文には、調査結果の詳細、事例紹介、そして日本の英会話スクール経営者向けのより詳しい提案が含まれています。

レポート全文はこちらからダウンロードできます。

https://gamerize-dictionary.com/student-retention-research-ebook/

JOBS IN JAPANはアンケートのデータ収集に協力する形で、この調査を支援しました。生徒の継続率が気になっている経営者の方には、レポート全文を読むことをおすすめします。

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